13.「自社株の承継(その1)」

~暦年贈与と相続時精算課税~ <○○な話(法人) 相続税>

中小企業のオーナー会社の場合、会長(親)の保有している自社株式を社長(子)に承継(贈与)する場合、暦年贈与と相続時精算課税制度による贈与との大きく2つの方法が考えられます。

今回と次回で、両者の違いを簡単にご説明します。

まず、暦年贈与ですが、これは年間で110万円までの贈与を受けても贈与税が課税されないという制度です。この110万円は贈与財産をもらった人を基準にしますので、父親から50万円、母親から60万円をもらうと、限度額に達してしまいます。110万円を超えると贈与税がかかってきます。

さて、この暦年贈与の非課税枠を使って毎年株価が110万円の範囲内に収まるような株数で贈与すれば、贈与税がかからないことになります。ただ、近々贈与者が亡くなってしまった場合には、その相続時から3年前までさかのぼった期間になされた贈与は相続財産にプラスされるので(生前贈与加算といいます)、暦年贈与だからといって必ず税金がかからないもの、という訳ではありません。

また、この暦年贈与は年間110万円までしか非課税枠がないので、自社株式の株価が高い場合には全ての自社株式を承継するのに何十年もかかる計算になることもあります。

そこで、相続時精算課税制度の登場です。

この相続時精算課税制度は、65歳以上の親から20歳以上の子などに贈与する場合には、2,500万円までは贈与税の特別控除があり、それを超えた贈与には一律20%の贈与税をかけるというものです。

一件、お得なように見えますが、様々な制約があります。

まず、この制度は贈与者と受贈者(贈与を受ける者)との間でのみ有効(1対1の関係)なものですが、一度選択すると撤回できません。その上、この制度で贈与を受けた贈与財産は相続の時に全て相続財産にプラスして相続税の基礎にされることになります。つまり、一旦は2,500万円までは贈与税をかけないけれども、その2,500万円分も含めてその制度選択後の贈与は全て相続財産としてその段階で「精算」しますよ、という「相続時」「精算」「課税」の制度なのです。

先の暦年贈与は相続開始前3年間の贈与だけが相続税の課税価格にプラスされるのに対し、この相続時精算課税制度では、その制度を選択後の全ての贈与財産が相続税の課税価格にプラスされる点が大きく違います。

この制度の趣旨は、生前に財産の承継をスムーズにさせようということです。

生前に財産を贈与されても2,500万円までは税金をかけず、いざ相続が発生した場合には(贈与税より低い)相続税の課税対象にするという制度なのです。

このように、相続時精算課税制度は相続時の課税財産を左右させるので、相続時の状況も予想した慎重な判断の下で行う必要のある制度だといえます。

あと、自社株式の贈与の場面での暦年贈与と相続時精算課税制度をめぐっては検討すべきポイントがありますので、次回に書きたいと思います。

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